大事なこと

関西の有名な〇〇大学には全国各地から優秀な学生が集まってくる。Aさんは2004年に○○大学に現役合格した新入生である。Aさんは地元では非常に優秀だったためもてはやされたが、○○大学に来た途端、自分より優秀な人たちが周りに沢山いて、すっかり自分に自信を失くしてしまった。周囲に対してコンプレックスを抱いた彼はなかなか友人もできず、自宅へと引きこもるようになって鬱になってしまい、ある日、自殺した。


「どうやったら自殺する人を救えるのかな?」とある人の言った言葉が胸から離れない。私は答えられなかった。ある人はAさんが受けている授業を担当していて、周りにあまり溶け込めないAさんをいろいろと気遣っていた。授業が終わった後に話しかけて、悩みを沢山聞いた。一時はAさんはそれで気がまぎれたかもしれない。しかし、根本的な解決には至らず、亡くなってしまった。


Aさんのことをもっともっと気遣って話を聞いてあげるべきだった?他の生徒とAさんが交流できる仕組みをもっとつくるべきだった?そんな手法云々よりも、結局何か手を打ってもどうにもならない問題だった?考えても考えても答えが出なかったのかある人は私に尋ねた。しかし、私より遥かに中身の濃い人生を生きてきたその人でも答えが出ないのに、私の浅い経験からひねり出せる答えなど無い。無理やり何かしらの答えを口にしたとしても、そんな自分が浅はかに見えて嫌だった。今も答えは全然出ていない。今日ふと思った。最近こんなこと考えていないな。とても大事なことだったと思うんだけれども。