{雑談]思いが詰まって表現されたもの

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

自分が大学時代に読んで大きく感銘を受けた本。この本には長い間世の中に価値を与え続けている企業の特徴として、能力は関係なしの自社の理念・考え方に深く共感し、その理念を守っていける適切な人間を会社で働かせる(適切な人をバスに乗せる)という表記がありますが、企業の採用支援やっていると、この『理念』(他にも価値観とか)という目に見えないものが形になっている企業の少ないことにビックリします。


理念が明確になっていないとどういうことが起きるか?まず、社員に「何でオレこの企業で働いているんだろう病」が発病しやすくなります。理念は会社が社会に対してどんなメッセージを提供しているか?社会の中で自社がどのようなポジションになることを目指すのかを示すもので、従業員が迷ったときに立ち返る心の拠所であり、企業の行動基準です。理念がないと、会社で自分の目的が見つけられない社員はモチベーションが下がってしまいます。


この理念、非常に大切なものですが、効果は単純に測定できるものではありません。しかも漠然としたものなので
理念作成には莫大な時間がかかってしまいます。ですからスピード効率を重視した現在の経営では忘れられてしまうことが多いです。


この前とあるクライアントの取材に立ち会ったときに、その会社の経営者から今まで創業時からずっと使っていた言葉、それは従業員に対してどんな人間であるべきかを説いた言葉でしたが、この言葉をその経営者はもうずっと使っていて古くなってしまったので、新しい言葉に置き換えたいと相談されました。そして差し出された言葉を見てみると、それは今まで長年使ってきた言葉で、その会社らしい、その会社にしかないような言葉と違い、どこの企業も使っていて、全く目新しくない言葉の羅列でした。確かに新しい方は口当たりが良くて今の学生の目を引きそうな言葉でしたが、単なるそれだけの言葉でした。なので、その方にそのことを伝えると、「なるほど」と言ってきちんと納得して今までの言葉を引き続き使うことになりました。


その後、その会社の1年目2年目社員の方に話を伺う機会があったので、上記の言葉についてどう思っているか質問してみたところ、長年使っていてずっと変わらない言葉なのに、全ての人が「あの言葉は胸に刺さった」や「しっかり覚えてします」や「うちの会社だけの言葉です」と言って、その言葉の話で盛り上がりました。単なる言葉なのに、その時の社員さん達が話している時の雰囲気は何て言ったら良いか、みんなイキイキしていて、とても素敵なものでした。


この経験は長年培われてきた思いが表現されたその会社だけの言葉、それは理念も然りですが、人の心に訴えかけ、人をつなぎとめる力を持っているんだということです。


そんな素敵な洗練された思いに沢山触れて、自分の思いも洗練していこうと強く思いましたとさ。